昨年の震災から一年が過ぎようとしております。
東日本大震災により被害を受けた皆様方には、心よりお見舞い申し上げます。
今年、最初のコラムは、確定申告も間近となってきましたので、「思いやり」に対するちょっとした「ご褒美」についてご説明します。

それは、確定申告すれば税金が安くなる寄付金控除についてです(もともと課税所得のない方は対象外ですが・・・)。
この度の東日本大震災に係る義援金等を支出した場合の所得税の取扱いは、次のとおりとなります(義援金等の支出先によって取扱いが異なる場合がありますのでご注意ください)。

個人の方が義援金等を支出した場合には、その義援金等が国又は地方公共団体に対する寄附金や財務大臣が指定するものなど一定のものであるときは、「特定寄附金」に該当し、寄附金控除の対象となります。
「特定寄附金」を支出した場合、次の算式で計算した金額が、所得の金額から控除されることになります。

(震災関連寄付金以外の特定寄付金の額の合計額+震災害関連寄付金の額の合計額 )-2千円=寄付金控除額

(注)震災関連寄附金以外の特定寄附金(赤い羽根募金、政治活動への寄付等)の額の合計額は、所得金額の40%相当額が限度です。
震災関連寄附金以外の特定寄附金の額と震災関連寄附金の額の合計額は、所得金額の80%相当額が限度です。

「震災関連寄附金」とは、次に掲げる義援金等をいいます。
①平成23年3月11日から平成25年12月31日までの期間(以下「指定期間」といいます。)内に国に対して 直接寄附した義援金等
②指定期間内に「著しい被害が発生した地方公共団体」(※)に対して直接寄附した義援金等
③日本赤十字社の「東日本大震災義援金」口座へ直接寄附した義援金、新聞・放送等の報道機関に対して直接寄附した義援金等で最終的に国又は「著しい被害が発生した地方公共団体」()に拠出されるもの
④社会福祉法人中央共同募金会の「東日本大震災義援金」として直接寄附した義援金等
⑤社会福祉法人中央共同募金会の「災害ボランティア・NPO活動サポート募金」として直接寄附した義援金等(平23.3.15財務省告示第84号)
⑥認定NPO法人に対し、東日本大震災の被災者支援活動に特に必要な費用に充てるために行った寄附金(その募集に際し、国税局長の確認を受けたものに限ります。)(平23.3.15財務省告示第84号、平23.4.27財務省告示第143号により追加)

⑦公益社団法人又は公益財団法人に対し、東日本大震災の被災者支援活動に特に必要な費用に充てるために行った寄附金(その募集に際し、当該公益社団法人又は公益財団法人に係る行政庁(内閣総理大臣又は都道府県知事)の確認を受けたものに限ります。)(平23.3.15財務省告示第84号、平23.5.20財務省告示第174号により追加)
⑧公共法人・公益法人等・特例民法法人・認定NPO法人(以下「公共・公益法人等」といいます。)に対し、東日本大震災により滅失又は損壊をした建物等(収益事業以外の事業の用に専ら供されていたものに限ります。)の原状回復に要する費用に充てるために行った寄附金(その募集に際し、当該公共・公益法人等に係る主務官庁の確認を受けたものに限ります。)(平23.3.15財務省告示第84号、平23.6.10財務省告示第204号により追加)
⑨全国商工会連合会に対し、東日本大震災により被害を受けた地域を地区とする商工会又は都道府県商工会連合会が全国商工会連合会の策定した計画に基づき行うその地区における商工業に関する施設の復旧及び経済の早期の復興を図る事業に要する費用に充てるために行った寄附金(平23.3.15財務省告示第84号、平23.6.24財務省告示第209号により追加)
⑩日本商工会議所に対し、東日本大震災により被害を受けた地域を地区とする商工会議所が日本商工会議所の策定した計画に基づき行うその地区における商工業に関する施設の復旧及び経済の早期の復興を図る事業に要する費用に充てるために行った寄附金(平23.3.15財務省告示第84号、平23.6.24財務省告示第209号により追加)
⑪公益財団法人ヤマト福祉財団に対し、東日本大震災により被害を受けた地域における農業若しくは水産業その他これらに関連する産業の基盤の整備又は生活環境の整備により当該地域の復旧及び復興を図る事業に要する費用に充てるために行った寄附金(平23.3.15財務省告示第84号、平23.6.24財務省告示第209号により追加)
⑫①から⑪以外の義援金等のうち、寄附した義援金等が、募金団体を通じて、最終的に国又は「著しい被害が発生した地方公共団体」()に指定期間内に拠出されることが明らかであるもの

「著しい被害が発生した地方公共団体」とは、被災者生活再建支援法の適用団体とされており、具体的には、青森県、岩手県、宮城県、福島県、茨城県、栃木県、千葉県の各県(県内の市町村も含みます。)、長野県栄村、新潟県十日町市、新潟県津南町、埼玉県加須市(旧大利根町の区域、旧北川辺町の区域)、埼玉県久喜市、東京都板橋区をいいます。

また、上記及びの義援金等は「特定震災指定寄附金」として、寄附金控除(所得控除)との選択により、税額控除の適用を受けることもできます

                       寄付金控除の適用        
「特定震災指定寄付金」   ⇒     ↕ 選択
                       税額控除の適用

特定震災指定寄附金を支出した場合、次の算式で計算した金額を所得税の額から控除することができます。
(特定震災指定寄付金の額の合計額-2千円)×40%=特定震災指定寄付金特別控除額

(注)特定震災指定寄附金の額の合計額は、所得金額の80%相当額が限度です。
ただし、その年中に「特定震災指定寄附金以外の寄附金の額」がある場合には、所得金額の80%相当額から特定震災指定寄附金以外の寄附金の額を控除した残額が限度となります。

特定震災指定寄附金以外の寄附金の額は、震災関連寄附金以外の寄附金の額(所得金額の40%相当額が限度です。)と震災関連寄附金(特定震災指定寄附金を除きます。)の額の合計額をいいます。
特定震災指定寄附金特別控除額は、所得税の25%相当額が限度です。

また、個人住民税も同時に安くなる『ふるさと寄付金』制度があり、この制度を活用することで、東日本大震災の被災地以外の出身の方でも復興支援を行うことができます。
上記①~⑫に該当する東日本大震災義援金は、『ふるさと寄付金』として所得税と個人住民税で控除(還付)が受けられます。この義援金は、被災地方団体が関係機関と組織する義援金配分委員会で配分され、被災者に届けられます。

【日本赤十字社や中央共同募金会に金融機関の振込みで寄附する場合の流れ】
①振込み
  (振込書の控を保存)
②振込書の控を添付して、来年3月15日までに最寄りの税務署に確定申告
  
③所得税と個人住民税で控除(還付)

『ふるさと寄付金』によって控除(還付)される額は、所得税と個人住民税を合わせて、概ね[寄附金額-2,000円]となります。
『ふるさと寄付金』に対する個人住民税の税額控除の計算式は
基本控除=(寄付金合計-2,000円)×10%
特別控除=(寄付金合計-2,000円)×(90%-寄付した人の所得税率)
控除される金額=1+2
*寄付金合計額は総所得金額等の30%相当額を限度とする
*特別控除の金額は、個人住民税所得割額の10%を限度とする

(例)給与収入800万円(配偶者を扶養)の人が義援金2万円を支出した。
   所得税の税率は20%とする。
    所得税の還付額=(2万円-2,000円)×20%=3,600円
    住民税の基礎控除=(2万円-2,000円)×10%=1,800円
    住民税の特別控除=(2万円-2,000円)×(90%-20%)=12,600円
    所得税の還付額+住民税の税額控除額=3,600円+1,800円+12,600円=18,000円
控除(還付)される額には上限があります。詳しくはお住まいの市区町村にお問い合わせください。

街頭などで募金箱に義援金を入れることも、「思いやり」には代わりはありません。
しかし、寄付金控除を受けるには、証拠書類(領収証等)が必要となりますのでご注意ください。
被災者の方々に対して、我々ができることを、少しずつ、少しずつ、積み重ねていきましょうね。

参照ホームページ
http://www.nta.go.jp/sonota/sonota/osirase/data/h23/jishin/gienkin/toriatsukai.htm
http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/080430_2_kojin.html