ここ何日かでグッと冷え込んで、そろそろコートの必要な時期になってきましたね。
私も、某洗濯屋さんに季節保管で預けっ放しのコートに気づき、慌てて電話したところでした。
これから一気に冷え込んできますので、ご用心を!
昨今の景気の冷え込みも予断を許しません。
尋常でない株価の下落も実体経済を表す現実でしょうが、人々のemotion(感情)による下落、すなわち本来の企業価値に関係なく「株が不安だからとにかく現金に換えておきたいので売る」という方々の影響も少なくないでしょう。
冷静に、今後を見据える必要がありそうですね。
また、この状況下で追い討ちを掛けるように、最近多発する「振り込め詐欺」のような犯罪に巻き込まれない冷静さも必要です。
「振り込め詐欺」も巧妙になって、油断すると、これもまた感情を操る手口で大切なお金があっという間に騙し取られます。身内の交通事故や痴漢等の示談金詐欺や高齢者を狙った還付金詐欺等さまざまです。
ここでは、高齢者を狙った「税金の還付金詐欺」についてご説明します。
国税局や税務署を名乗る人物から、年金の振込日にあわせて「過払いの税金を返金します」という内容の電話があったり、または手紙が届いたりします。
電話が直接かかってきた場合でも、あり得ることなので疑うことは少ないでしょう。しかし、「所得税を返金するからATMで操作をしてください」と言われるのです。
また、手紙の場合は、国税局徴税課、収税課、税金課等という実際には存在しない名称で、住所も記載されず、郵送されてきます。しかし、「国が税金を返金するというのなら、もらうのは当然。」という心理を突かれ、そこに記載されている電話番号にわざわざ電話してしまうのです。しかし、ここでも「所得税を返金するからATMで操作をしてください」と言われるのです。
ここで、ダイワハウスのCMのように「な・なんでATMなんだ・・・?」と気づかなければいけないのです。
しかし、「思ってもいなかった税金が戻してもらえる」とか、「いくら戻ってくるのかなあ」とか・・・感情の高ぶりで完全に冷静さを欠いてしまいます。
そして、畳み掛けられるのです。
個人情報保護法第○条により・・などいろんな理由をつけ、ATMの操作に持ち込まれるのです。多くの高齢者も今や携帯電話を持つ時代です。その携帯電話で指示され、銀行のATMではなく、近所のコンビニやスーパーのATM(行員に邪魔されないため)に誘導されます。
自分のキャッシュカードを差し込んで、「お引出し」「お預け入れ」「お振込み」などを選ぶ画面が出て、電話で、「所得税の振込みをしますから、『振込』のボタンですね」と言われるままに、そして、振込先が架空の個人名でも「国税局の担当者名です」とかわされ、1から0までの数字の画面で「今から言うパスワードを入力下さい」と、本当はこれが振込金額なのですが、もうここまで来たら疑うことを忘れてしまっているのです。「最後に、『円』を押してください」続けて、確認画面がでても「『はい』を押してください」と、言われるがままに振込完了となります。
パスワードと思って入力した金額が通帳から消えてしまったにもかかわらず、ATMに慣れていない高齢者は達成感に満ち溢れ「ひとりでできた~!」と満足げに笑顔でATMを後にするのでした。
これは、現実に発生している事件なのです。「そんなの引っかかるわけないよ」と思っていても引っかかってしまい、2007年の還付金等詐欺の認知件数は2571件で、被害総額は29億8671万円というとんでもない状況です。そして、現在も増え続けているのです。
ここで今一度、税金の還付手続きがATMを利用して行なわれることは決してありません!
皆さんも、ふるさとのご両親、ご祖父母様には十分用心されますようお伝え下さい。
ところで、ここでの被害額は所得税の計算上、控除対象となるのでしょうか?
所得税には、雑損控除という所得控除があります。
雑損控除とは、納税者や納税者と生計を一にする配偶者その他の親族の住居、家財、現金等、生活に通常必要な財産について、①災害 ②盗難 ③横領により損失を受けた場合に、控除が受けられます。
しかし、「振り込め詐欺」の被害額は、所得税法上、①②③の損失(特に③の横領と混同しないこと)に当てはまらないのです。
税法は、被害者の意思に関係なく被る損失を対象としていますので、詐欺による損失は、騙し取られたとしてもお金を支払う(振込む)という被害者の意思が介入されているとみなされるため、雑損控除の対象とする意思に関係がない損失とならないことになります。
果たして、騙された高齢者の方々には振込む意思などあったのでしょうか?
どこにもないような気がしますけど・・・。
法改正がない限り、現時点では控除できないのです。
結局、自分の身は自分で守るかしかありません。
人は、さまざまemotion(感情)に左右されます。
何事にも冷静なご判断、そしてご決断を!