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税理士コラム

ベビーシッター代が所得控除!

厚生労働省は、2016年度税制改正要望にベビーシッター代を※特定支出控除に盛り込む方針を打ち出しました(H27/8/25日本経済新聞掲載)。

これは、乳幼児を抱えながら仕事をするためにベビーシッターを利用する会社員の税負担を軽くすることで、安部政権が進める「仕事と子育ての両立支援」を税制面より後押しするものです。

ならば、保育料はどうなの?個人事業者の必要経費にならないの?結局、高所得のサラリーマンが対象?など、適用領域はまだ不透明なものの、いまだ認知度の低い特定支出控除の利用者は、今後増えることとなりそうですね。

※特定支出控除とは

~給与所得者が次の1~6の特定支出をした場合、その年の特定支出の額の合計額が、自身の給与所得控除額の半分を超えるときは、確定申告によりその超える部分の金額を給与所得控除後の所得金額から差し引くことができる制度です。

  1. 一般の通勤者として通常必要であると認められる通勤のための支出(通勤費)
  2. 転勤に伴う転居のために通常必要であると認められる支出(転居費)
  3. 職務に直接必要な技術や知識を得ることを目的として研修を受けるための支出(研修費)
  4. 職務に直接必要な資格を取得するための支出(資格取得費)※平成25年分以後は、弁護士、公認会計士、税理士などの資格取得費も特定支出の対象となります。
  5. 単身赴任などの場合で、その者の勤務地又は居所と自宅の間の旅行のために通常必要な支出(帰宅旅費)
  6. 次に掲げる支出(その支出の額の合計額が65万円を超える場合には、65万円までの支出に限ります。)で、その支出がその者の職務の遂行に直接必要なものとして給与等の支払者より証明がされたもの (勤務必要経費)
  • 書籍、定期刊行物その他の図書で職務に関連するものを購入するための費用(図書費)
  • 制服、事務服、作業服その他の勤務場所において着用することが必要とされる衣服を購入するための費用(衣服費)
  • 交際費、接待費その他の費用で、給与等の支払者の得意先、仕入先その他職務上関係のある者に対する接待、供応、贈答その他これらに類する行為のための支出(交際費等)

4の取得資格の追加と6の支出については、平成25年分以後、特定支出の対象となります。これにより、毎年数人しか利用していなかった制度ですが、同年は利用者が1,430人に増加しました。

なお、これらの六つの特定支出は、いずれも給与の支払者が証明したものに限られます。ということは、今回のベビーシッター代も給与の支払者の証明が必要になりますね。

また、給与の支払者から補填される部分があり、かつ、その補填される部分に所得税が課税されていないときは、その補填される部分は特定支出から除かれますのでご注意ください。