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税理士コラム

「ニーサ」って?

昨年の政権交代後、デフレと円高からの脱却そして、名目3%以上の経済成長の達成等を目指すアベノミクスにより、景気も徐々に上向きに推移し、株価も上昇しております。
そして、来年より、いよいよ証券税制も大きく変わります。

上場株式や公募株式投資信託等の売却益や配当、分配金にかかる申告分離課税による税率※10%(所得税7%+住民税3%)が平成25年12月末で終了し、平成26年1月より20%(所得税15%+住民税5%)に引き上げられます。
※平成25年1月1日以降は所得税の2.1%が復興特別所得税として追加的に課税されております。

これに伴い、イギリスのIndividual Savings Account(個人貯蓄口座)を参考にした少額投資非課税制度、すなわち日本版ISA〔愛称:NISA(ニーサ)〕が、平成26年1月よりスタートします。

<口座別>
特定・一般口座—H25/1⇒税率10.147%(復興税含む)  H26/1⇒税率20.315%(復興税含む)

非 課 税 口 座—-H25/1⇒該当なし              H26/1⇒非課税

※上記の2口座は損益通算できない。

日本版ISA(上記の非課税口座)の概要は、次のとおりです。
① 非課税対象 ~ 非課税口座内の上場株式等の売却益、配当金
② 投資上限額 ~ 毎年100万円(その年の未使用分は翌年以降に繰り越せない)
③ 投資開始期間 ~ 平成26年1月1日から平成35年12月31日の10年間
④ 非課税期間 ~ 最大5年間(新規投資した年の4年後の年末まで)
⑤ 最大投資額 ~ 500万円(年100万円×5年間)
⑥ 利用対象者 ~ その年1月1日現在、満20歳以上の日本居住者等
⑦ 非課税口座 ~ 一投資家あたり一口座のみ(平成27年より金融機関変更可へ調整中)
⑧ 途中売却 ~ 自由(ただし、売却部分の非課税枠は再利用できない)

運用益の税率引き上げは、資産形成にとっては、確かにマイナス要因ですが、日本版ISAの活用や申告分離課税を積極的に利用することで、節税を図ることも可能となります。
ただし、日本版ISAについては、運用資産の値下がりは、非課税の利点を活かせなくなり、売却して損切りすることはできますが、他の口座(特定・一般口座)の利益と通算することができません。運用商品の選択が鍵となるでしょう。

また、上場株式や公募株式投資信託等の売却損は、他の上場株式や公募株式投資信託等の配当、分配金について申告分離課税を選択していた場合、損益通算することができます。
通算しても売却による損失が残ったときは、その損失をその後3年間、繰り越すことが認められます。
さらに、公社債について、平成28年1月より、現行税制では源泉分離課税の利子、非課税所得の譲渡益、総合課税の償還差益が、原則として、すべて申告分離課税となり、損益通算の範囲が拡大される見込みです。

このように、金融商品に対する課税の仕組みが、大幅に今後変わりますが、申告分離課税の税率の引き上げのみに、注視するのではなく、広い視野で今後の資産運用を考える必要があるのではないでしょうか。

【平成25年度税制改正大綱等に基づく】