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税理士コラム

相続した空き家の譲渡で、3,000万円控除!

現在、全国的に適切に管理されず、放置されている空き家が、問題となってきております。
そこで、平成27年5月26日より「空き家対策特別措置法」が施行され、そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態又は著しく衛生上有害となるおそれのある状態等と認められる空家等(以下、特定空家等)に認定され、必要な措置をとるよう勧告を受けると、固定資産税や都市計画税の「住宅用地特例」の対象外となりました。
住宅用の家屋の敷地であれば、「住宅用地特例」の適用対象となり、おおむね固定資産税が6分の1に、都市計画税が3分の1に軽減されるため、今まで空き家が放置されてきました。
しかし、今後、特定空家等に認定されると、固定資産税や都市計画税の軽減が無くなり、大幅な増税となります。
これは、現状の空き家に対する増税措置により、放置空き家の減少を狙ったもので、これに追加して、今後さらに発生することが予想される空き家対策として減税措置が、平成28年度税制改正において創設されました。
これが、「被相続人の居住用財産に係る譲渡所得の3,000万円の特別控除の特例」いわゆる「相続空き家の3,000万円控除の特例」です。
一人暮らしの父又は母(以下、被相続人)が亡くなった場合に、亡くなるまで被相続人が一人で住んでいた家屋と敷地を相続した子(以下、相続人)が、その物件の処分をしやすくして、空き家を減らそうというものです。
但し、この特例を受けるには、いくつかの条件を満たさなければならず、注意が必要です。

具体的には、以下のとおりです。
①特例控除対象者は、相続又は遺贈により被相続人居住用の家屋及その敷地を取得した者。
②家屋が昭和56年5月31日以前に建築されたもの(マンションは除く)。
③相続開始の直前において被相続人が一人で住んでいたこと(老人ホーム入居は対象外)。
④相続開始の時から譲渡の時まで事業の用、貸付の用又は居住の用に供されていないこと。
⑤譲渡対価が一億円を超えないこと。
⑥平成28年4月1日から平成31年12月31日までの間に譲渡すること。
⑦相続開始の時から3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡すること(平成25年1月2日以降に相続が発生したものが対象)。
⑧家屋を取壊さずに売る場合には、家屋が新耐震基準(昭和56年6月1日以後の基準)に適合するもの(「被相続人居住用家屋の耐震基準適合証明書又は建設住宅性能評価書の写しが必要)。

上記のかなり細かい条件をクリアしても、さらにこの特例の適用を受けるためには、被相続人居住用家屋の所在市町村に対し、「被相続人居住用家屋等確認書」の申請をし、交付を受ける必要があります。
この申請には、被相続人居住用家屋を取壊した場合、取壊しの時から譲渡の時までの被相続人居住用家屋の敷地の使用状況がわかる写真(取壊し後、未使用の証拠)を添付しなければなりません。
もしも、被相続人居住用家屋を取壊しその敷地を相続人が売却した後、すでに購入者が自身の家屋を建築していた場合、いまさら写真を撮っても遅かった!ということにならないように、事前の準備が必要ですね。

以上、全ての条件を満たした場合に、次のような算式により税額が計算されます。
〈譲渡収入金額-(取得費+譲渡費用)-3,000万円〉×※20.315%=税金(所得税、住民税)
※居住用の軽減税率は不適用