昨今の厳しい社会情勢、景気低迷、雇用不安、中国不動産バブル崩壊懸念、ギリシャ危機(ヘッジファンドの陰謀?)の影響、そして迷走の果てに首相交代による更なる政治不信、などなど不安材料はたくさんあります。
『これからの日本は大丈夫なの・・・?』という国民の不安を払拭する国の政策に期待するとともに、我々も先を見る目を持つ必要がありますよね。
とはいえ、いろいろ考えてストレスがたまりすぎるのも問題です。たまには、仕事帰りに一杯!というのも、よい季節となってきました。
一次会は近所の居酒屋で、そして二次会は中洲へ・・・!なんて、バブル世代の私はつい想像してしまいますが、現実はなかなか厳しいですねぇ(。>д<。)
ところで、『中洲のクラブのホステスさんの給料はどうなってるの!』って、大きなお世話ですが、つい最近(平成22年3月2日)ちょっと、気になる最高裁判決がありましたので、お知らせします。
まず、ホステスに支払われる対価は、原則、「報酬・料金」つまり事業所得ということで、所得税法第204条1項第6号において、所得税が源泉徴収されることが規定されています。
従って、まず給料ではないのです。
そして、次に所得税の徴収方法ですが、クラブのオーナーがホステスに報酬を支払う際に、その支払方法の区分によって、次の控除額を控除した残額に10%の税率を乗じた金額を所得税として控除します。
(支払方法の区分)~ (控除額)
①日々支払う場合 ~ 5,000円
②10日ごと、半月ごとのようにあらかじめ
計算期間を定めて支払う場合 ~ 5,000円×その定められた計算期間の日数
(クラブ等の休日の日を除く。)
③月ごとに支払う場合 ~ 5,000円×その月の日数
(クラブ等の休日の日を除く。)
(例1) 出勤日が週のうち、水曜日、金曜日の2日間と定められている場合(上記②)
・計算期間——–1週間(出勤日は水、金の2日間)
・支払報酬——–50,000円
【控除額】~5,000円× 2日(出勤日数) =10,000円
報酬額 控除額 税率
【税 額】~(50,000円-10,000円)×10%=4,000円
(例2) 月締めで支払われる場合(上記③)
・計算期間——–1日~31日(営業日数25日)
・支払報酬——–350,000円
【控除額】~5,000円× 25日 =125,000円
報酬額 控除額 税率
【税 額】~(350,000円-125,000円)×10%=22,500円
ここで、裁判における事案は、控除額の計算の基礎となる「計算期間の日数」が、ホステスの出勤した日だけとなるのか、それとも出勤していない日も含めその期間のすべての日となるのか、が争われていました。
【事実の概要】
原告(パブクラブ経営者)が、各ホステスに対して半月ごとに報酬の支給額を計算して報酬を支払っていたが、その報酬額から欠勤や遅刻をした場合のペナルティを控除し、源泉徴収すべき所得税額の計算上差引く控除額については、「計算期間の日数」を出勤していない日も含め営業日数として計算した金額を控除し、残額に10%を乗じた金額を納付した。
これに対し、被告(税務署長)は、上記ペナルティは控除しつつも、源泉徴収すべき所得税額の計算上差引く控除額については、「計算期間の日数」をホステスの出勤した日だけにとどめるとして、原告らに対し差額分の賦課決定処分を行った。
被告(税務署長)の主張は、高裁判決でも支持されていましたが、今回の最高裁判決では、その判断を破棄し、出勤日数ではなく、計算期間に含まれるすべての日数を指すものとして逆転で原告(パブクラブ経営者)サイドを支持する判断を示しました。
最高裁は判決において、『租税法規はみだりに規定の文言を離れて解釈すべきものではなく』としており、税法(所得税法施行令322条)の文言に従って判断することを示しました。
今後の税務署の対応はどうなるのでしょうか?
注目ですね( ̄m ̄*)!