09/29: 贈与税の非課税の改正
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平成22年度の税制改正の一つに贈与税の改正があります。これは建設需要を喚起するための
政策の一つです。贈与税の改正の他に、住宅金融支援機構のフラット35の金利の引き下げ
(優良住宅取得支援の場合1%下がります)、住宅に対するエコポイント制度の導入
(最大で30万ポイントの付与)等々がありますが、税理士コラムですので、
今回は贈与税の改正について書いていきます。
当事務所の過去のコラムでも取り上げておりました「住宅取得資金の贈与税の非課税」ですが、
平成22年度の税制改正で次のとおり、金額と期間が改正され、所得制限が追加されております。
直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税の改正
1.適用期間の延長
改正前の適用期間(平成22年12月31日まで)が平成22年1月1日から
平成23年12月31日までとされました。
2.非課税限度額の引き上げ
改正前の非課税限度額(500万円)が次のとおり引き上げられました。
①平成22年中に住宅取得資金の贈与を受けた者:1,500万円
②平成23年中に住宅取得資金の贈与を受けた者:1,000万円
3.特定受贈者の所得制限の追加
改正前の特定受贈者には、所得制限がありませんでしたが、今回の改正で、
贈与を受けた年の合計所得金額が2,000万円以下であることが追加されました。
ただし平成22年中の贈与に限っては、改正前の制度を選択適用できるため、
改正後の新制度では適用対象から外れる合計所得金額2,000万円超の者は、
500万円を非課税とすることができます。
その他の点について改正はありませんが、参考までに、過去のコラムの内容を
一部書き換えて、記載しておきます。
【住宅取得等資金の贈与税の非課税】
〈概 要〉
平成22年1月1日から平成23年12月31日までの間に、自己の居住の用に供する
住宅用の家屋の新築又は増改築等(以下、住宅用家屋の新築等)のための金銭(以下「住宅取得等資金」)
を贈与により取得した場合において、一定の要件を満たすときは、そのうち、平成22年中の贈与については
1,500万円まで、平成23年中の贈与については、1,000万円までは贈与税は非課税。ただし期限内申告が必要となる。
〈受 贈 者〉
①贈与時に日本国内に住所を有すること
②贈与者の直系卑属であること
③贈与年の1月1日において、20歳以上であること
④贈与年の翌年3月15日までに、住宅取得等資金の全額を住宅用家屋の新築等に充てること
⑤贈与年の翌年3月15日までに、その家屋に居住すること、又は同日以後遅滞なく居住することが確実であると見込まれること
⑥贈与年の合計所得金額が2,000万円以下であること
〈贈 与 者〉
受贈者の直系尊属(父母・祖父母・曽父母等)
〈非課税限度額〉
①平成22年1月1日から平成22年12月31日までは受贈者ごとに1,500万円
②平成23年1月1日から平成22年12月31日までは受贈者ごとに1,000万円
③贈与年の合計所得金額が2,000万円を超える受贈者については、平成22年中での贈与に限り500万円
④贈与者死亡の際、その贈与者に係る相続税の計算において、相続税の課税価格への加算なし(生前贈与加算の適用対象外)
≪既存非課税枠との併用≫
1.暦年課税との併用
基礎控除との併用が可能であるため、平成22年中の贈与であれば、
・110万円+1,500万円=1,610万円まで非課税となります。
・生前贈与加算額(相続開始前3年以内の贈与の場合)110万円(相続財産)
・祖父母・曽父母等からの贈与は、暦年課税との併用のみ
・税率(非課税枠を超えた場合)10~50%
2.相続時精算課税との併用
・2,500万円+1,500万円=4,000万円(非課税額:年間)
(平成23年については2,500万円+1,000万円=3,500万円)
・相続時精算課税による加算額(相続開始前3年以内の贈与に関係なく)2,500万円
・相続財産が基礎控除(5,000万円+1,000万円×法定相続人の数)以下の場合有利
・相続時精算課税選択者は、選択時以後の暦年課税は適用不可
・税率(非課税枠を超えた場合)一律20%
また贈与年の合計所得金額が2,000万円超の場合、平成22年に限り、
500万円の非課税限度額を使うことが可能である。
上記のような併用方法が考えられますが、贈与する額はいくらか?誰からの贈与か?
親の財産は多いか?過去に相続時精算課税を選択していないか?
等々、ご自分の状況に合わせてご検討ください。
また、これらの改正に伴って、住宅取得等資金に係る相続時精算課税の特例の改正も行われておりますので、
お知らせしておきます。
≪改正の内容≫
1.住宅取得等資金に係る相続時精算課税の特例の適用期間の延長
改正前の適用期間(平成15年1月1日から平成21年12月31日まで)が平成22年1月1日から平成23年12月31日まで
2年延長されました。
2.住宅取得等資金の贈与を受けた場合の相続時精算課税に係る贈与税の特別控除(住宅取得資金1,000万円)の特例の廃止
平成21年12月31日をもって、廃止されました。
3.適用関係
平成22年1月1日前に贈与により取得した相続時精算課税に係る贈与税の特別控除の特例に係る
住宅取得資金に係る贈与税については、従来通りとされています。
以上、少し長くなりましたが、今回は住宅取得等資金に係る贈与税の非課税の改正に関するコラムでした。
政策の一つです。贈与税の改正の他に、住宅金融支援機構のフラット35の金利の引き下げ
(優良住宅取得支援の場合1%下がります)、住宅に対するエコポイント制度の導入
(最大で30万ポイントの付与)等々がありますが、税理士コラムですので、
今回は贈与税の改正について書いていきます。
当事務所の過去のコラムでも取り上げておりました「住宅取得資金の贈与税の非課税」ですが、
平成22年度の税制改正で次のとおり、金額と期間が改正され、所得制限が追加されております。
直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税の改正
1.適用期間の延長
改正前の適用期間(平成22年12月31日まで)が平成22年1月1日から
平成23年12月31日までとされました。
2.非課税限度額の引き上げ
改正前の非課税限度額(500万円)が次のとおり引き上げられました。
①平成22年中に住宅取得資金の贈与を受けた者:1,500万円
②平成23年中に住宅取得資金の贈与を受けた者:1,000万円
3.特定受贈者の所得制限の追加
改正前の特定受贈者には、所得制限がありませんでしたが、今回の改正で、
贈与を受けた年の合計所得金額が2,000万円以下であることが追加されました。
ただし平成22年中の贈与に限っては、改正前の制度を選択適用できるため、
改正後の新制度では適用対象から外れる合計所得金額2,000万円超の者は、
500万円を非課税とすることができます。
その他の点について改正はありませんが、参考までに、過去のコラムの内容を
一部書き換えて、記載しておきます。
【住宅取得等資金の贈与税の非課税】
〈概 要〉
平成22年1月1日から平成23年12月31日までの間に、自己の居住の用に供する
住宅用の家屋の新築又は増改築等(以下、住宅用家屋の新築等)のための金銭(以下「住宅取得等資金」)
を贈与により取得した場合において、一定の要件を満たすときは、そのうち、平成22年中の贈与については
1,500万円まで、平成23年中の贈与については、1,000万円までは贈与税は非課税。ただし期限内申告が必要となる。
〈受 贈 者〉
①贈与時に日本国内に住所を有すること
②贈与者の直系卑属であること
③贈与年の1月1日において、20歳以上であること
④贈与年の翌年3月15日までに、住宅取得等資金の全額を住宅用家屋の新築等に充てること
⑤贈与年の翌年3月15日までに、その家屋に居住すること、又は同日以後遅滞なく居住することが確実であると見込まれること
⑥贈与年の合計所得金額が2,000万円以下であること
〈贈 与 者〉
受贈者の直系尊属(父母・祖父母・曽父母等)
〈非課税限度額〉
①平成22年1月1日から平成22年12月31日までは受贈者ごとに1,500万円
②平成23年1月1日から平成22年12月31日までは受贈者ごとに1,000万円
③贈与年の合計所得金額が2,000万円を超える受贈者については、平成22年中での贈与に限り500万円
④贈与者死亡の際、その贈与者に係る相続税の計算において、相続税の課税価格への加算なし(生前贈与加算の適用対象外)
≪既存非課税枠との併用≫
1.暦年課税との併用
基礎控除との併用が可能であるため、平成22年中の贈与であれば、
・110万円+1,500万円=1,610万円まで非課税となります。
・生前贈与加算額(相続開始前3年以内の贈与の場合)110万円(相続財産)
・祖父母・曽父母等からの贈与は、暦年課税との併用のみ
・税率(非課税枠を超えた場合)10~50%
2.相続時精算課税との併用
・2,500万円+1,500万円=4,000万円(非課税額:年間)
(平成23年については2,500万円+1,000万円=3,500万円)
・相続時精算課税による加算額(相続開始前3年以内の贈与に関係なく)2,500万円
・相続財産が基礎控除(5,000万円+1,000万円×法定相続人の数)以下の場合有利
・相続時精算課税選択者は、選択時以後の暦年課税は適用不可
・税率(非課税枠を超えた場合)一律20%
また贈与年の合計所得金額が2,000万円超の場合、平成22年に限り、
500万円の非課税限度額を使うことが可能である。
上記のような併用方法が考えられますが、贈与する額はいくらか?誰からの贈与か?
親の財産は多いか?過去に相続時精算課税を選択していないか?
等々、ご自分の状況に合わせてご検討ください。
また、これらの改正に伴って、住宅取得等資金に係る相続時精算課税の特例の改正も行われておりますので、
お知らせしておきます。
≪改正の内容≫
1.住宅取得等資金に係る相続時精算課税の特例の適用期間の延長
改正前の適用期間(平成15年1月1日から平成21年12月31日まで)が平成22年1月1日から平成23年12月31日まで
2年延長されました。
2.住宅取得等資金の贈与を受けた場合の相続時精算課税に係る贈与税の特別控除(住宅取得資金1,000万円)の特例の廃止
平成21年12月31日をもって、廃止されました。
3.適用関係
平成22年1月1日前に贈与により取得した相続時精算課税に係る贈与税の特別控除の特例に係る
住宅取得資金に係る贈与税については、従来通りとされています。
以上、少し長くなりましたが、今回は住宅取得等資金に係る贈与税の非課税の改正に関するコラムでした。
09/08: 物品切手等の消費税
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今年の夏(6~8月)は、平均気温が1.64度高くて統計を取り始めた1898年以降
で最も高かったということでした。福岡市でも、8月の月平均気温が観測史上1位で、
最高気温が35度以上となる猛暑日も年間最多を更新しているようです。9月に入ってからも、
まだまだ暑い日が続いていますが熱中症や夏バテに気を付けて、この暑い夏を乗り切って下さい。
この夏のお中元で、得意先等に商品券やビール券を贈答した方もいらっしゃると思いますが、
この商品券やビール券の購入は消費税の非課税取引です。
それは、物品切手等(商品券、ビール券、図書券、旅行券、映画・遊園地等の前売り入場券、
航空券、JR回数券、高速道路利用券、テレホンカードなどのプリペイドカード)の譲渡は、
消費税の非課税取引とされているからです。
(注)物品切手等の譲渡に課税すると、最終的に提供を受ける商品やサービスが同じ一つのもの
であるにもかかわらず二重に課税されることになるので、これを避けるために課税しないことに
なっています。
ただし、事業者が自ら使用するために購入した物品切手等で、継続して購入した日の属する課税期間の
課税仕入れとしている場合は、その経理処理が認められることになります。
例えば、出張する際の航空券・JR回数券・高速道路利用券、福利厚生の目的で購入した入場券や、
商品券を使って消耗品など購入した場合などがあげられます。
あと、野球場のシーズン予約席料は、主催者と予約者の間の契約に基づくシーズン中における野球
観戦を目的とした席料であるとともに、野球を観戦させるという役務の提供の対価と考えられますから
課税仕入れとなります。なお、シーズン予約者には試合ごとの入場券が交付されますが、この入場券は
シーズン予約者であることを証する一種の整理券と考えるのが妥当であり物品切手には該当しません。
また、課税仕入れの時期は、現実に役務の提供を受ける日つまり観戦をする日ですが、交際費等の
算入時期(中途解約はできないものであるから、接待等のあった日として交際費等に直接関連する
行為のあった開幕日)に課税仕入れがあったとしても差し支えありません。
で最も高かったということでした。福岡市でも、8月の月平均気温が観測史上1位で、
最高気温が35度以上となる猛暑日も年間最多を更新しているようです。9月に入ってからも、
まだまだ暑い日が続いていますが熱中症や夏バテに気を付けて、この暑い夏を乗り切って下さい。
この夏のお中元で、得意先等に商品券やビール券を贈答した方もいらっしゃると思いますが、
この商品券やビール券の購入は消費税の非課税取引です。
それは、物品切手等(商品券、ビール券、図書券、旅行券、映画・遊園地等の前売り入場券、
航空券、JR回数券、高速道路利用券、テレホンカードなどのプリペイドカード)の譲渡は、
消費税の非課税取引とされているからです。
(注)物品切手等の譲渡に課税すると、最終的に提供を受ける商品やサービスが同じ一つのもの
であるにもかかわらず二重に課税されることになるので、これを避けるために課税しないことに
なっています。
ただし、事業者が自ら使用するために購入した物品切手等で、継続して購入した日の属する課税期間の
課税仕入れとしている場合は、その経理処理が認められることになります。
例えば、出張する際の航空券・JR回数券・高速道路利用券、福利厚生の目的で購入した入場券や、
商品券を使って消耗品など購入した場合などがあげられます。
あと、野球場のシーズン予約席料は、主催者と予約者の間の契約に基づくシーズン中における野球
観戦を目的とした席料であるとともに、野球を観戦させるという役務の提供の対価と考えられますから
課税仕入れとなります。なお、シーズン予約者には試合ごとの入場券が交付されますが、この入場券は
シーズン予約者であることを証する一種の整理券と考えるのが妥当であり物品切手には該当しません。
また、課税仕入れの時期は、現実に役務の提供を受ける日つまり観戦をする日ですが、交際費等の
算入時期(中途解約はできないものであるから、接待等のあった日として交際費等に直接関連する
行為のあった開幕日)に課税仕入れがあったとしても差し支えありません。