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税理士コラム

福利厚生プランと源泉所得税

10月も後半となり、吹く風がすっかり秋めいてまいりました。福岡でもさわやかな好天が続いておりますが、皆様はいかがお過ごしでしょうか?これからの時期、寒暖の差も大きくなってきますので、体調管理にはくれぐれもお気をつけください。

さて、今回は会計事務所にも問い合わせの多い「現物給与」について少しふれてみたいと思います。

給与は、現金で受け取ったり、自分の銀行口座に振り込まれたりするのが一般的ですが、そうではなく、形にみえない物や権利・その他経済的利益をもって支給されるものがあります。これを現物給与といいます。会社が負担した費用については、原則として会社の経費として処理されるわけですが、この費用が従業員に対しての現物給与であった場合、経費処理することに変わりありませんが、「給与」ですので、通常の金銭で支給される給与に上積みして源泉所得税の計算を行うことになります。

主な現物給与として、
・食事の支給
・通勤手当
・レクリエーション費
・商品、製品等の値引き販売
・永年勤続者表彰のための記念品等
・住宅の貸与
などが挙げられます(まだまだ他にもたくさんあります。)。

ただし、現物給与でも一定の要件を満たしていれば給与課税されないことになっています。これは、「社内の福利厚生充実」「節税」につながるといえます。

食事の支給や通勤手当などは、馴染みのある方も多いかと思います。会社でお弁当をとったり、社員食堂で社員価格で安く食事を提供する場合、これは現物給与に該当します。「えっ、社食で安く食事できてると思っていたら、給与課税されているの?」と心配される方もいらっしゃるかもしれませんが、社員が食事代の半額以上を負担しており、かつ、会社の負担額が月額3,500円以内という要件を満たしていれば、給与課税されないことになっています。社員食堂で提供される食事が実際はいくらするのかは普通分かりませんが、給与として課税されていなければ、社員が半額以上負担していることになります。通常は、給与明細に「社員食堂課税分」などという項目を目にしないですよね?
通勤手当も従業員に対する現物給与になるのですが、これも合理的に計算された運賃であれば給与課税されないことになっています(1ヶ月10万円が限度)。ですから、遠方から通勤し、実際にかかった運賃が数万円になっても合理的であれば非課税になるのです。マイカー通勤などの場合には、別途、非課税となる範囲が定められています。
また、レクリエーションなどの会社負担については、ケースによって処理が異なります。慰安旅行の場合は、旅行期間や社員の参加割合等の要件を満たせば、給与課税されませんが、4泊5日を越える旅行であったり、社員参加数が半数に満たない場合などには、会社負担額が給与課税され、源泉徴収の対象となります。

各会社にはそれぞれの福利厚生プランがあり、それだけに、上記に挙げたもの以外でもさまざまな現物給与があります。会社としては、経費として処理することに変わりありませんが、一定の要件を満たすかどうかによっては、給与課税されるものがあります。従業員の所得税にも関わってきますので、福利厚生等については、規定をよくご確認下さい。