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税理士コラム

相続税の増税について

昨年、秋に発表された税制改正大綱で相続税の増税について記載があり、
その増税案が今国会で審議中です。今回のコラムは相続税の改正案についてです。

相続税の改正案の大筋は下記の4つとなっております。

1.基礎控除を現行より40%縮減する。
2.相続税の最高税率が55%へ引き上げる。
3.死亡保険金の非課税限度額を縮減する。
4.未成年者控除・障害者控除の金額を引き上げる。

1.基礎控除を現行より40%縮減する。

【現 行】
5,000万円+1,000万円×法定相続人の数

【改正案】
3,000万円+600万円×法定相続人の数

配偶者と子供二人の標準的な世帯では、現行では遺産金額が
5,000万円+1,000万円×3人=8,000万円までは、相続税がかからず、
申告も不要でしたが、今回の改正案では遺産金額が
3,000万円+600万円×3人=4,800万円を超えると相続税の申告が必要になってきます。

2.相続税の最高税率が55%へ引き上げられる。

現行の税率構造は6段階ですが、改正後は8段階となり、5千万円超1億円以下(30%)までの
税率は変わりませんが、改正後は2億円以下(40%)、3億円以下(45%)、6億円以下(50%)、
6億円超(55%)となります。
現行は1億円超3億円未満(40%)、3億円超(50%)ですので、遺産額が2億円を超える世帯に
とっては、相続税は確実に増税となります。

3.死亡保険金の非課税限度額の縮減

死亡保険金の非課税限度額は、現行500万円×法定相続人の数ですが、改正案では
「計算対象となる法定相続人を未成年者、障害者又は相続開始直前に被相続人と生計を一
にしていた者に限る」ことになります。
以上のことから、今後は、別居している法定相続人は計算対象から外されることになります。

4.未成年者控除・障害者控除の金額の増加

未成年者控除・障害者控除の金額が現行の6万円から10万円へ引き上げられます。

また、現在審議中ではありますが、今回の改正案では、平成23年4月1日以降の相続とありますので、
上記の改正は平成23年4月1日に遡って適用されることになります。

以上、簡単ではありますが、平成23年度の相続税の増税についてのコラムでした。

追記:
平成23年6月22日に相続税の基礎控除の引き下げと税率構造の改正について、
先送りされることが正式に決まりました。これにより、今年度からの相続税の増税は見送られました。
詳細は後日、税理士コラムにて書いていきますので、しばらくお待ちください。