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税理士コラム

印紙税の知識

今年も早いもので、もう9月に突入しました。まだまだ、暑い日が続いておりますが、朝晩はだんだんと涼しくなってきました。これからは、過ごしやすい季節に移行していきます。食欲の秋、スポーツの秋、読書の秋、・・・楽しみですね。

さて、今回のコラムは印紙税についてです。印紙税とは、経済取引などに関連して作成される文書(契約書・領収書など)にかかる税金で、その課税文書に収入印紙を貼付して消印することにより、納付することになります。納税義務は文書の作成者にありますが、2人以上で1つの文書を作成した場合は、作成者全員がその義務を負います。皆さんも、日頃の生活の中で、収入印紙売り場など目にすることはあるかと思いますが、どういう場合に、いくら貼るの?という疑問を持ったことはありませんか?

以下、印紙税についておさえておきたい事項です。

<課税文書に該当するかの判断>
印紙税が課税されるのは、印紙法で定められた課税文書に限られます。
この課税文書とは、
① 印紙税法別表第一に掲げられている、20種類の文書により証明されるべき事項が記載されていること。
② 当事者間において課税事項を証明する目的で作成された文書であること。
③ 印紙税法第5条の規定により印紙税を課税しないこととされている非課税文書でないこと。
の全てに当てはまる文書をいいます。課税文書に該当するかの判断は、文書の名称や「形式的」なものではなく、記載されている言葉・符号の「実質的」な意味に基づいて行う必要があります。

課税文書かそうでないかの判断については、難しいものが多く、知らぬ間に脱税行為をしていたということも起こり得ます。例えば、月極のような線の引いてある駐車場の賃借での契約には印紙は必要ないが、駐車場として利用するために土地を賃借した場合は契約金額に応じた印紙が必要となる・・・等。
このように、中には際どいものもあるので文書の判定には気をつけなければなりません。

<記載金額と消費税>
消費税額などが区分されている場合、又は税込・税抜価格が記載されていることにより、その取引にあたって課税されるべき消費税額などが明らかになる場合には、「建物売買契約書」などの1号文書、「工事請負契約書」などの2号文書、「領収書」などの17号文書について、その消費税額等の金額は記載金額に含めないこととされています。

例)請負契約書において
1) 請負金額1,050万円 税抜価格1,000万円 消費税額50万円
2) 請負金額1,050万円 うち消費税額50万円
3) 請負金額1,000万円 消費税額50万円 計1,050万円
4) 請負金額1,050万円 税抜価格1,000万円
と、記載したもの。
⇒上記1)~4)は第2号文書に該当し、記載金額1,000万円、印紙税額は1万円となります。

<還付について>
不課税文書に収入印紙を貼付したり、過納付(貼付)してしまった場合には、そのままの状態で所轄税務署に持参し、一定の手続きをとることによって印紙税の還付を受けることができます。なお、汚損、き損されていない収入印紙は、郵便局で他の額面のものと交換することができます。(提出する収入印紙1枚につき手数料5円)

<過怠税について>
印紙の貼付漏れや消印漏れの場合、過怠税が課されます。
税務調査等において、契約書を確認する際、指摘を受けるケースもありますので、注意しましょう。
○貼付漏れの場合・・・納付すべき税額×3倍
*収入印紙を貼っていないことを自主的に申し出たときは1.1倍

○消印漏れの場合・・・当該税額相当額

なお、過怠税は法人税の損金や所得税の必要経費には算入されません。

印紙税についての新しい情報
<「不動産売買契約書」や「建設工事請負契約書」に係る印紙税の軽減措置延長>
これまで平成9年4月1日から平成23年6月30日までに作成されたこれらの契約書について軽減措置の対象とされていましたが、23年7月1日から25年3月31日までに作成される契約書についても軽減措置が適用されます。(記載された契約金額が1,000万円を超えるもの)
なお、売買金額の変更や工事の工事請負内容の追加などの際に作成される変更契約書や補充契約書などについても軽減措置の対象となります。
軽減措置の対象となる契約書に係る税率は、課税物件表の規定に関わらず、次表のようになります。
契約金額 本則税率 軽減税率
1千万円を超え5千万円以下のもの 2万円 1万5千円
5千万円を超え1億円以下のもの 6万円 4万5千円
1億円を超え5億円以下のもの 10万円 8万円
5億円を超え10億円以下のもの 20万円 18万円
10億円を超え50億円以下のもの 40万円 36万円
50億円を超えるもの 60万円 54万円

もし、軽減税率が適用される契約書にその金額を超える収入印紙を貼ってしまったら、多く納付した印紙税額分の還付を受けることができます。

印紙税については身近ですが、意外にその詳細を知らない方も多いようです。今回ご紹介したのは、ほんの一部分ではありますが、今後の参考にしてみてください。